ミタカくんと私、とそのママと。【さちえの本棚vo.3】

2016年6月3日(金)

夏が近づくといつもこの本のことを思いだします。
 
小学校高学年か中学生かの時に読んだ本。
 
 
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幼なじみの「ミタカくんと私(ナミコ)」。
 
二人を取り巻く少しの人たちとのある夏の話です。
 
 
主人公のナミコは、台風が近づくとマンガとお菓子と冷凍ドリアを買って家にこもります。
 
部屋にこもってマンガを読みながら、たまに外の荒れ模様を確認したりしながら、冷凍ドリアを食べるのです。
 
そのシチュエーションに憧れた“夢見る夢子ちゃん(さちえ)”は、台風が近づいたある日、冷凍ドリアが食べたいと母親に頼みます。
 
ただ、冷凍食品を買いだめする習慣はおろか、冷凍加工食品を買いたがらない母親は「昨日のごはん残ってるでしょ」と取り付くシマもありません。
 
結果、おばあちゃんにこっそり頼んで冷凍ドリアを買ってもらい、母親の留守にしている間にこそこそと、家の中の台風から隠れるように食べたのです。
 
おばあちゃんの部屋で畳の上に寝そべったまま、窓に激しくぶつかって滴る雨を見ながら食べた冷凍ドリア。
 
味はもう思い出せないけれど、情景は今でもはっきり覚えています。
 
いちから作った優しい料理も美味しいですが、台風みたいな激しい天気の日は冷凍食品のガツンとした味がよく似合う。
 
 
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ところで。
 
このミタカくんとナミコのような関係性に憧れた“夢見る夢子ちゃん(さちえ)”も、気がつきゃ目尻のシミが気になるお年頃です。
 
ミタカくんはナミコの家に入り浸りなのです。
 
 
 
こんなことって許されますか?!
 
ナミコとミタカくんは幼なじみ。
 
でも曲がりなりにも学生の2人。
 
おうちに帰った方がいいんじゃないの?親御さんは心配しているんじゃないの?ナミコのお母さん、そこのところはどうお考えですか?
 
そんなことが気になって、おちおちトキメキもできやしない。
 
 
 
今回、さちえの本棚で【 雨の降るちょっと肌寒い時に思い出す本 】を紹介しようと思って読み返したこの『ミタカくんとわたし』
 
昔はナミコに感情移入しながら読んでいたのに、読み返したところ、どうしてもママが気になってしまう。
 
このお話にパパは登場しません。
 
パパは家出中です。
 
ナミコ、弟のミサオ、ミタカくん、ママの4人がパパについて話すシーンが6ページに渡って描かれて、終了。
 
―その一瞬で、みんなの心の中からパパは飛び立っていった。―という一文以降、パパについて書いている部分はありません。
 
事の顛末を説明する際にママはこんなことを言います。
 
「パパにはすべてを失う覚悟で出てってちょうだいって言ったの」
「生存競争は厳しいのよ。あんた達、パパのもの全部もらっちゃいなさい」
 
他に好きな人ができたというパパを責めるわけでもなく、美しい言葉で子どもを煙に巻くようなこともせず、事実と自分の心の動きを分かりやすく伝えたママ。
 
この人、ただものじゃない。
 
 
 
他に好きな人ができたと夫(想像上の)に言われた時、私はどうするだろう。
 
自分を卑下するような言葉を吐かずに、相手を責める言葉を投げつけずに、相手に腹を括らせて自分の毎日を楽しむ。
 
「あんたは夢見る夢子ちゃんだから将来が心配」と言われていた私も、あれから15年近く経って、それなりに現実的になりました。
 
世間一般の28歳女性と比べたら、ふわふわしていて、ふと気を抜くと夢見る夢子ちゃんがひょっこり顔を出しますが、生命保険に入ったり、毎月の家賃の支払いをしたり、一人で知らない土地にでかけたりできるくらいは、大人になりました。
 
 
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ママの年齢は分からないけれど、きっとナミコとママの年齢のちょうど真ん中に私がいるのではないのかな。
 
ナミコに憧れていたものの、ナミコっぽい学生生活は送れなかった私。
 
ママっぽい生活もちょっと期待できないぞ・・・・・・。
 
夢子ちゃんが思い描いていた程、私の人生は穏やかなものではなさそうだけれど、夢子ちゃんが思っていたより随分楽しい人生を送っています。
 
毎日泣いたり喚いたりバカ笑いしたり、冷凍加工食品みたいなガツンとした味の人生になっちゃってますけど、これはこれでなかなかクセになるってもんです。
 
今年はまだ台風1号が現れていないそうなので、冷凍ドリアはまだ買わなくてもいいかな。
 
 
 
 


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メルマガ担当。 愛猫をお腹の上に乗せて、コーヒーとシュークリームを楽しみながら映画を見る時間に幸せを感じるさちえです。 毎週末に本を3冊読みます。おすすめの本を隔週で発信していきます☆
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