遺伝のせいだと諦めていませんか? 遺伝子との上手な付き合い方

2016年11月7日(月)

「体が丈夫なのは父親譲りかも」「髪質はお母さんに似たのかな」などと思ったことはありませんか?または、いくら食べてもモデルのように美しい体系を維持している人を見て、「きっと良い遺伝子をもって生まれたんだろうな」とうらやましく思ったことはありませんか?

 
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私たちの遺伝子には、はるか昔から受け継がれてきた生命の記憶が刻まれています。
しかし、遺伝子が果たしている役割は、ただ単に遺伝情報を次世代に伝えることだけではありません。
 
そもそも遺伝子って何?

 

遺伝子とは親から子へ、子から孫へと受け継がれていく「生命の設計図」です。人間が持っている遺伝子は、約2万数千種類といわれています。
私たちはこの世に誕生してから死ぬまでの間、常に様々な遺伝子の働きに影響を受けています。
 
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私たちの体は約60兆個の細胞でできていますが、もとはたった一つの受精卵。これが何回も分裂していくうちに血管や心臓、目や鼻、手や足などができていくのは、遺伝子という設計図があるおかげです。
 
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また、こうして作られた様々な組織や臓器の働きをはじめ、神経やホルモンの働きなど、私たちが生命活動を維持していくために欠かせない体の働きも様々な遺伝子によってコントロールされています。このような遺伝子の情報が全て書き込まれているのが、細胞の核の中にあるDNAという物質です。

 

細胞1個あたり約2mのDNAが存在しています。一人の体内にあるDNAを全て一列につなぎ合わせると、その長さはおよそ1200億kmになるといわれています。

 

遺伝子スイッチのオンとオフ

 

DNAに収められている膨大な量の遺伝情報のうち、日常的に使われているのはわずか2%といわれています。遺伝子はあくまで情報に過ぎないため、そのままでは何の作用ももたらしません。実際に作用するのは、遺伝子が作りだすタンパク質。遺伝子がタンパク質をつくって、そのタンパク質がはたらくようになることを「遺伝子のスイッチがオンになる」と表現することがあります。
 
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遺伝子スイッチは自分でコントロールできる?

 

親から全く同じ遺伝子を受け継いで生まれた一卵性双生児でも、大人になって生活習慣がかわると見かけも健康状態もかわってきます。遺伝子スイッチには、生まれたときにすでに固定されていて途中では変わらないものと、環境の変化に応じてこまめにオンになったりオフになったりするものがあります。多くの遺伝子があることで、同じ遺伝子を持っていても個体の特徴が異なってくるのです。私達の見た目や体質が「どんな遺伝子をもっているか」だけでなく、環境的要因にも大きな影響を受ける証拠でもあります。
(環境的要因とは、食事・運動・大気・水質・精神的ストレスなど、私たちがもって生まれた遺伝的要因以外のものを指します。)
 
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すばらしい遺伝子を受け継いでも、偏った食事や運動不足、過剰なストレスなど体に悪そうなことばかりしていると、健康を維持できません。逆に親から太りやすい、血圧が上がりやすい、血糖値が上がりやすいといった遺伝的体質を受け継いでも、生活習慣を改善し、遺伝子スイッチのオン・オフを良い状態に保つことができれば、体質を変えられる可能性があるのです。

 

環境的要因がもたらした現代

 

江戸時代の日本人に肥満はほとんどなく、身長は成人男性が150cmほど、女性は140cmほどだったといわれています。百数十年間の間に日本人の遺伝子の構成がガラッと変わることは考えにくいため、この体格の違いは食事をはじめとした環境的要因によるものであることが分かります。

 

腸内細菌は遺伝子も影響させる?環境因子 “腸内フローラ”

 

後天的な環境因子として、近年注目を浴びているのが「腸内フローラ」です。(腸内細菌の集まりを花畑になぞらえて、腸内フローラと呼ばれる。)
近年、腸内解析の技術が飛躍的に進化し、腸内の状況が体質や遺伝に大きく関係していることが分かっています。
私たちの腸には、約100兆個もの腸内細菌が存在しています。善玉菌が多ければよいわけではなく、理想的な腸内細菌の割合は善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割のバランスです。
 
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この割合が健康や精神の質を左右しており、体に大きな影響を与えていると考えられています。
つまり、腸内フローラを改善することは、自分自身でコントロールできる環境的要因を改善することなのです。

 

腸内フローラ次第で性格が変わる!?

 

カナダにある名門大学のとある研究によると、「マウスの腸内細菌を入れ替えることで、マウスの性格が変わった」という結果が報告されています。この実験により、性格は遺伝子だけではなく、腸内細菌の影響も受けていることが明らかになりました。
私たち人間の場合においても、癌・糖尿病・肥満・自閉症・引きこもり・鬱などは遺伝も関係しますが、圧倒的に腸内環境に原因があることが多いといわれています。

 

運動をすると腸内細菌が豊かになる

 

腸にとって運動不足は天敵です。運動不足は筋力を低下させ、腸の機能低下を招きます。腹筋や腹圧が弱まると、便を外に出す「ぜん動運動」が弱くなります。すると、大腸に残留物が残り、悪玉菌が増殖しやすい環境になるのです。普段の生活に軽めのウォーキングやストレッチを取り入れたり、シャワーで済ませずしっかりと入浴したりすることを心がけましょう。
 
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必ず摂取したい3つの栄養素

 

腸内フローラの環境を改善したい場合、食事の改善が必要になってきます。下記の3つの栄養素を様々な食材から取り入れることで、腸内細菌を元気にしていくことを意識しましょう。
また、善玉菌の餌になる食物繊維・オリゴ糖を3度の食事に摂り入れ、善玉菌を助ける発酵食品は腸の動きが活発な夕食時に数種類を摂ることが好ましいといわれています。

 

食物繊維 野菜や海藻類に豊富に含まれている。食物繊維は善玉菌の餌となるため、腸内の善玉菌の数を増やすことができる。

 

発酵食品 納豆、味噌、漬物、チーズなどの発酵食品は、腸内に元々棲んでいる善玉菌を活性化させる効果が期待できる。

 

オリゴ糖 オリゴ糖は、胃や腸で吸収されずに大腸まで到着してビフィズス菌の餌になるため、善玉菌を増やすことができる。

 
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ストレスで善玉菌が減り、悪玉菌が増える

 

腸内細菌のバランスは、食生活や運動だけで決定づけられるものではありません。精神状態によっても、大きく左右されます。
例えば、ストレス状態が続くと善玉菌が減り、悪玉菌が増えます。その結果、腸内細菌のバランスが崩れてしまうのです。
とはいえ、日常生活でストレスをなくすことはできません。ストレスを受けるのは仕方がないものとして受け入れて、上手く折り合いをつけることが大切です。
 
少しの間一人の時間を作ったり、美味しいものを食べたり、趣味や入浴タイムなどで自分なりのストレスケアを心がけましょう。
 
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健康情報はあくまで万人向けの情報にすぎません。ところが、あなたと全く同じ遺伝的特徴をもっている人は、この世の中には一人もいません。本来、「健康に良いもの」とは、あなた自身の体が「必要としているもの」あるいは「不足しているもの」のことです。

 
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何事も遺伝だからと諦めずに、バランスの摂れた食生活・適度な運動・ストレスの解消などの生活習慣を意識し、健康的な生活を送ることが美と健康に近づく第一歩なのです。


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